生産現場へのタブレット端末導入効果
組み立て業務で発生する各種記録帳票をリアルタイムで集計し、その結果を技術開発部門や生産現場へフィードバックする仕組みを構築したことで、部品公差や品質に関わる問題解決スピードが大幅に向上しました。紙を電子データに変更するだけにとどまらず、プロセス改善を並行で行ったことで、最大25%の業務効率化を実現しました。
従来の記録方法の問題点
タブレット端末で効率化された業務
タブレット端末の運用方法
生産現場ではブースごとにタブレット端末が1台ずつ設置されています。組み立て担当者はこの端末で、手順を確認しながら組み立てを行い、公差などの検査結果を入力し、製造工程の進捗状況を報告します。タブレット端末で入力された内容は社内のデータベースサーバに保存される仕組みになっているので、生産状況の確認や記録の集計をリアルタイムで行うことが可能に。紙の記録帳票を表計算ソフトへ転記する必要がないので、転記業務のコストがゼロになるとともに、データの信頼性と再利用性が大幅に向上しました。
これまでは製造現場へ紙で配布していた製造指示書も、管理用PCからタブレット端末へ一斉送信。これによりペーパーレス化と作業指示のスピードアップを実現できました。
生産現場の声
タブレット端末の導入は、生産現場に作業スピードの向上をもたらしました。まずは組み立て担当者の記録作業。入力や修正、確認がしやすくなったため、記録作業の時間が以前に比べて半分以下になりました。規格外の値が入力された場合にはエラー表示がされるので、入力ミスはもちろん、組み立てのミスも減っています。また、記録用紙を使っていた時代に存在した表計算ソフトへの転記作業。手書きの文字、とくに数字は判別しにくいこと(1と7、0と6など)もあり、転記の際には相当なミスが発生していたと思います。この転記作業そのものがなくなったことは、大きな業務効率化といえます。
組み立て担当者からは、「足し算や引き算のために電卓を使ったり、修正ペンで記入の誤りを直していた時代よりも入力作業がラクになった」、「新人教育にかける時間が少なくなった」、「もう紙には戻れない」と、タブレット端末の評判は上々です。
タブレット用アプリ開発者の声
生産現場へタブレット端末を導入したきっかけは、ここ数年来の生産量の増加でした。従来の手法では帳票類の記録・管理が難しくなり、これらの業務をデジタル化できないかと考えたのがきっかけです。現場へはノートPCの導入も考えましたが、メンテナンスや学習のコスト、そしてなにより使いやすさの面からタブレット端末を選定しました。この端末では私が開発したタブレット用アプリが動作します。生産現場へ頻繁に足を運び、作業担当者からの意見をアプリに取り入れています。このようなスピーディーなフィードバックは、自社開発の大きなメリットだと思います。
品質面では、規格外の数字が入力された場合、警告が出るようにしています。手書きの場合、見過ごしても不思議ではなかったケースもコンピュータがフォローするので、品質面の向上にも寄与できたと思っています。
タブレット端末の導入後、帳票類が管理しやすくなったのはもちろんですが
組み立て担当者が帳票に記録する時間を短縮
記録帳票や製造指示書のペーパーレス化
手書きの帳票を転記する作業の廃止
リアルタイムでの生産状況の確認
データの正確性・信頼性の向上
データの二次利用や検索が可能に
など、一部ラインでは最大で25%の業務効率化を実現しました。
現在はタブレット端末が6つの製造ラインで稼働中ですが、近い将来、導入ラインをさらに拡大していく予定です。
この業務効率化が評価されたことで、本ページの内容が「FileMaker カンファレンス」(2017年10月23日から、パシフィコ横浜で開催)の業務改善事例として紹介されることとなりました。アプリの開発を担当した社員も、24日のセッションでスピーカーとして登壇する予定です。
登壇予定のセッション
「内製したカスタム Appで、年間1,100時間、330万円のコスト削減を実現
さらにアウトソーシングとのハイブリッドで、より大規模なソリューションへ」
セッションの詳細内容